「社会的連帯経済を推進する会」にご参加ください

ソウル市長朴元淳(パクウォンスン)氏の呼びかけにより、2013年11月にソウル市で開催された「グローバル社会的経済フォーラム=GSEF(Global Social Economy Forum)において採択された「ソウル宣言」に触発され、日本でもこの動きに連帯する運動が始まりました。ソウル宣言によって明確にされた社会的連帯経済という考え方が、これまでの市民運動がぶつかっていた市場原理主義の厚い壁を、ようやく破ることが出来るのではないかという期待が生まれました。そしてこの期待は、今後の新たな社会への展望を拓くとともに、具体的な活動目標を定めてさらに前進しようという意志と意欲へと高まってきました。

近年、こうした活動を進めてきた方々の中で、社会的連帯経済について、研究会や勉強会、国際会議への参加や現地視察、などが活発に行われ、日本に適したあり方、日本国内の経済活動に内在する、社会的連帯経済の様々な事例の発掘など、踏み込んだ活動もみられるようになりました。

さらに、2016年のGSEFモントリオール大会(カナダ)や2018年のビルバオ大会(スペイン)への参加を経て、日本でも「社会的連帯経済」の考え方は、すでに日本の中では多くの実践が行われており、進め方次第で多くの市民の中に浸透・一般化していくだろうという確信を持つに至りました。


私たちはこうした情勢の進展を受け止め、「社会的連帯経済」の理解を広め、その事業的推進を一層強めるため新たに「社会的連帯経済を推進する会」(以下、「推進する会」)の設立を呼びかけたいと思います。


これまでソウル宣言に触発された様々な市民運動の仲間は、以下のような認識で活動してきました。

<地域に根ざした協同組合などの「社会的経済」もしくは「社会的連帯経済」活動が、今日の世界が直面している様々な危機的問題〜貧困と格差、過疎と過密、食の安全、青年労働者の非正規化と失業、自然環境の破壊、老齢化と少子化、社会的排除、等々〜を解決する有力な社会開発の方策である。このことは、国連を始め国際的によく認識されている。>

<しかし日本においては、協同組合をはじめとして各種の組織や運動がそれぞれの目的に向かって努力はしているものの、必ずしも社会開発として有効に機能してはいない。その要因は、政治の側の無関心と行政の縦割りと官僚の縄張り意識に阻まれて、組織や運動が、お互い連帯し経験を学び合う機会を作る努力を怠ってきたからだと言っていい。>


私達のこれまでの取り組みによって、上記の事があらためて日本社会に横たわる問題であることを実感させられました。しかしまた、これまでの取り組みによって、「社会的連帯経済」を前面に押し出し、国連の諸機関、協同組合、社会的企業、NPO、草の根運動、自治体、さらには連帯経済の芽を持った諸企業(中小企業等)等に呼びかけ、理解を得ることができれば、日本における社会的連帯経済の展望は明るいと信じるに至りました。

社会的連帯経済という新しい経済の流れは、国際的に見れば、国連社会開発研究所(UNRISO)やILOなど20の国連組織に加えて、オブザーバーとして国際協同組合同盟(ICA)や大陸間社会的連帯経済推進のためのネットワーク(RIPESS)が参加した「国連社会的連帯経済タスクフォース(TFSSE)」が、2013年9月に組織され、「2030アジェンダ」立案の原動力となったことにも現れました。そして「2030アジェンダ」が17の持続可能な開発目標=SDGsへと発展し、世界的な運動へと広がりつつあります。さらには、そのSDGsの担い手として「社会的連帯経済」が期待されていることは、TFSSEに参加したILOやRIPESSをはじめとして、国連機関やNGOメンバーが、GSEFの大会をコーディネートしていた事実からでも伺えられるでしょう。モントリオール大会ではRIPESSやモンブラン会議が組織として従来の垣根を取り払い、正式にGSEFへ参加し、「社会的連帯経済」は一つの大きな潮流へと統一する気運が生まれています。


日本においても、前述の他、日本協同組合連絡協議会(JJC)を発展的に再編した日本協同組合連携機構(JCA)の設立(2018年4月)、労働者協同組合の法制化への実現が現実化、いくつかの地域での「社会的連帯経済」活動に取り組む団体の連帯の動きなど、ここにきて「社会的連帯経済」対する理解と広がりが進んでいます。また、2019年の日本協同組合学会春季研究大会では、研究討論の課題として「社会的連帯経済」が取り上げられています。


このような経過を踏まえて私たちはあらためて日本での「社会的連帯経済」の理解と広がりを目指す「推進する会」を設立したいと考えています。

「推進する会」は、世界有数の経済大国でありながら、その恩恵が生活者全体に行き渡っていない現状に対して、改革の方向を明らかにします。現在の政権が今なお、高度経済成長期の旧い成功体験から抜けきれず、生活者全体を豊かにしないどころか、ますます格差を助長し、貧困を生み出している現実を告発し、それを克服する経済・社会システムを創造して行くことを目指します。


また、「推進する会」は、国連の呼びかけに触発されて、取り組みが進められている「SDGs」は、日本ではまだその理解が不充分だと考えています。国連では「社会的連帯経済」がSDGsを担うことを期待していると理解されることから、その視点からアプローチしていきたいと考えています。


なお、来年の「GSEF2020メキシコシティ大会」(2020年10月21〜23日)への参加は、ビルバオ大会以上に幅広い参加が出来るように「GSEF2020メキシコシティ大会日本実行委員会(仮称)」を組織し、多方面の方々が呼びかけ合って、参加していきたいと考えています。


当面は、①「社会的連帯経済」に関し、ソウル市などの海外情報も含めて、SNSなどを通じて情報発信の充実に力を注ぎ、② 各地での実践活動の紹介や交流(特に、地域をベースとした組織横断的なネットワーク活動など)の紹介、③ GSEFの基本的スタンスである自治体との協働や、中間支援組織の追求など、定期的な研究会の開催を計画していきたいと考えています。

ここに、個人、研究者のみならず、協同組合や社会的企業、NPO、自治体やその首長・議員・職員、企業の皆さんの参加を広く呼びかけます。

なお、この呼びかけは、GSEFへの参加を組織するなどして、日本における社会的連帯経済の顕在化に努力してきた「ソウル宣言の会」の、5年間の総括と新組織立ち上げの提言に応える形で起草されました。「ソウル宣言の会」は「推進する会」発足後はその一メンバーとして引き続き活動を続けてもらう予定です。

2019年10月

社会的連帯経済を推進する会

若森資朗

白井和宏

鈴木風人

 

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