社会的連帯経済とは?

現在、世界の経済および生態系が危機にさらされています。そこで私たちは社会的連帯経済の創造と発展をつうじて「よりよい生活」「よりよい世界」を構築することが不可欠であると考えます。社会的連帯経済とは信頼と協力によりこれらの問題を解決し、地域の多種多様な地域共同体の連帯性を深める経済のことを指しています。その精神を簡潔に要約したのが2013年11月5日の第1回グローバル社会的経済フォーラム(Global Social Economy Forum=GSEF)で採択された「ソウル宣言」に示されています。


この宣言を具体的に推進し実現してゆくために2014年11月19日にGSEF憲章が採択されて「自己規定=アイデンティティ、ビジョン、会員、総会、運営委員会、事務局、財政」などの機能を持つ恒常的な国際機関としてスタートしました。


→ ソウル宣言

→ グローバル社会的経済フォーラム(GSEF)憲章(PDF)

→ 【参考論文】富沢賢治「社会的・連帯経済の思想的基盤としてのポランニーとオウエン」(PDF)

 

社会的連帯経済のアイデンティティ

社会的連帯経済が追求しているのは、公平で安心安全な経済、社会的包摂、持続可能な発展、そしてまちづくりや経済を機能させることへの人々の参加度を高め、これらを総合することです。その強化発展は世界の流れを変えることにつながります。


この経済を構成するのは各種協同組合、コミュニティビジネス、社会的企業、信用組合、共済組合、社会的責任金融、非営利団体(NPO)、慈善団体、フェアトレード、マイクロクレジットなどです。つまり利益追求を主たる目標にして人間性や環境保全をないがしろにする経済を除く、多くの経済主体を指します。重要なことは、そうした主体が自分たちの価値と力を自覚し連帯することです。そして営利中心の私的資本セクターおよび公的セクターとの均衡のある関係をもつことです。そのために、ある時は他のセクターと協力し、ある場合は牽制・批判もします。事業と活動においては社会的目的を常に自覚して、それぞれの主体が市民資本セクターとして力量と影響力の増大に努める必要があります。さらに、人間の本性にある多元性や政治的な目的の多元性を認め、画一的なやり方を拒否する事業と活動の質を追求します。特に個人の自発性に発する草の根組織の主体性を重んじ、自治体および政府との関係においては、この精神に基づき政策が相互補完すべきだと考えます。

 

社会的連帯経済のビジョン

今日の世界経済は巨大な多国籍企業をはじめとする市場経済が圧倒的で、次いで公共経済がありますが、今のところ社会的連帯経済はわずかな比重しかありません。この現状を改めて市場経済、公共経済、社会的連帯経済が調和のとれた発展を志向します。そのために個人の自発性を基礎にした社会的連帯経済に協力する基礎自治体との連携を重視して、良質な仕事の場の創出、公正で持続可能な発展、草の根民主主義の成長、エコロジカルで適正な科学技術の創造と応用を追求します。すなわちすべての人間の尊厳と環境保全・持続可能な発展です。このことを具体的かつ実践的に推進するためのネットワーク構築と人材養成を各地域ごと、国ごと、国境をまたいで、また世界規模で企画実行してゆきます。

 

「社会的経済」と「連帯経済」の連結=社会的連帯経済

「社会的経済」の思想と運動には長い歴史があります。また従属的立場にある人びとによる「連帯経済」という概念と運動も強力に存在しています。アジア諸国にもまた日本の「結い」や韓国の「ドゥレ」など地域共同体の共同農耕作業や相互扶助の伝統が数多くあります。しかし、その自分たちの活動と抱いている自己規定概念は必ずしも世界共通の言葉や概念と共通しておりません。そこで、GSEFの第3回大会である2016年モントリオールにおいて社会的経済と連帯経済を連結発展させる意味をこめてわれらの運動と組織を「社会的連帯経済」と呼ぶことを含む「モントリオール宣言」を採択しました。

 

GSEFと諸世界との連携

優勝劣敗の悪しき新自由主義によるグローバリゼーションに対抗する運動はさまざまに存在しています。世界社会フォーラムはよく知られているその1つです。GSEFは世界のさまざまな運動や組織と連携し、可能な限り相乗り、合流しようというスタンスです。国連の専門機関であるILO、世界の各大陸の疎外された人々のニーズに応えて活動しているRIPESS(大陸間社会的連帯経済ネットワーク)、社会的経済の研究者の国際ネットワークであるRMB(モンブラン会議)など多数の国際組織のリーダーが参画し発言してきました。

 

国連のSDGsとの連動-連帯の輪を広げる

2018年10月1~3日にスペイン・バスク州ビルバオで開かれたGSEF第4回大会では、先に述べたRMBやRIPESSが正式にGSEFに加入すると共に国際連合が2016年決議した「世界を変えるための17目標」=「持続可能な発展目標(SDGs)」との連動、共同諸活動が提案され確認されました。実はGSEFに結集する諸組織代表や研究者の中には国連の専門機関や研究プロジェクトメンバーが少なからず活動しており、「今日の世界的な危機は、国家セクターや市場経済セクターだけでは解決できない。市民資本セクターの役割が不可欠だ。市民が自発的に参画してつくる社会的連帯経済の主体的な活動こそが必要である…」ことが確認されました。この国連総会が全会一致で2030年までに達成しようという目標を実現できるか否か、社会的連帯経済の活動にかかっているといえるでしょう。

 

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